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その地の代名詞となったドラゴンアイへ

更新日:6月6日

 6月2日、秋田県と岩手県にまたがる八幡平の山頂付近を歩いてきました。主な目的に、すっかり有名になった「ドラゴンアイ」の初見学が。県外出身の私ではありますが、それでも田舎である祖父母の家と秋田が好きで、小さい時から鹿角へはよく来ていました。少年時代も一人旅で鉄道を乗り継ぎ鹿角入りしたりと。今で言う関係人口であり、都会に住む秋田通の男子ではありました。

 ですが、「ドラゴンアイ」を初めて耳にしたのは、7年前こちらへ移住した後の話。おじさんになってからのことです。改めてネットで少し調べてみますと、2016年頃に台湾からの旅行者が、この時期のこの沼の様子を見て”ドラゴンアイ”だ、とSNSで世界に発信したのがきっかけのようです。

 その沼とは、八幡平山頂付近にいくつかある沼の一つ、鏡沼であり、秋田県仙北市側にあり標高約1,500mのところにあります。冬季の氷と積雪が溶け出し、毎年この時期の少しの期間、沼がまさに龍の目のように見えてくる不思議な沼です。

 表題に代名詞となりつつあると書きましたが、今ではすっかりこれ目当ての観光客の方々が国内外から押し寄せ、”いい時期”には行列になるほどだそうです。今日、ツアーの方々を乗せた観光バスを何台か観察して見ましたが、ツアー名のプレートには、「ドラゴンアイを見る…」、「〇〇とドラゴンアイを巡る…」とやはりすごいネームバリュー。「八幡平を巡る」ではなく「ドラゴンアイにいく」と。そもそもこれは確かめるまでもなく、当宿でお出ししているビールだって、八幡平ビール”ドラゴンアイ”ですし、毎年この時期には、"ドラゴンアイ"を見てきたよのお客様、チャックアウトの後に行かれるお客様を、私どもの小さな宿でも一定数、お迎えさせていただいていたのです。


 朝6時過ぎに大湯を出発し、途中で今回一緒に行って頂く県内にお住まいで当宿の常連のお客様Aさんと合流、八幡平山頂へと向かいました。話は逸れますが、今回こちらへと向かったきっかけが、日頃の運動不足解消のため今年こそは山歩きを定期的にしたいと考えていた折、山歩きのベテランであるAさまに相談をしたところ、それではまずは八幡平に行きましょう、時期的にもドラゴンアイが見れるかも、という話になり、予定を先に組んだことでした。

 気になる本日の”目”のご様子は、まだ目にはなっていなかった、です。少し早かったようです。しかしもう少し時期を遅らせれば綺麗な龍の目が見られるかというとそうとも限らず、やはり年によって色々な条件が合わさった結果として、綺麗な目になるか、ぼやけた目になってしまうか、とベテランAさんは仰います。やはり自然の産物なのですね。ポスターなんかも、今まででよかった年に写したものを毎年使っているのだとか。

 しかし雪のまだ多いオオシラビソの林間、雪が溶けたばかりの湿原地帯と顔を出し始めた高山植物たち、ドラゴンアイ(鏡沼)の他にも霧に包まれた静かで美しい湖沼群と、山頂付近で3km程のハイキングは、日頃の運動不足解消どころか、日常からの解放、大いなる自然観察と、大満足を我々にもたらしました。流石はベテランのAさん、我々の分までコーヒー豆とお湯をご用意してきてくださっており、ハイキングの途中休憩で淹れたてのコーヒーとお菓子をいただくと言う至れり尽くせりぶり。見倣って、我々がどなたかをご案内できるようにならねばと思います。

 八幡平山頂の他、少し山を下ったところにやはり静かに佇む自然湖である大沼にも立ち寄り、沼の周り(遊歩道があります)を1周(約1.2km)、自然観察をしながら、山の春の"いい時期"を満喫しました。

 鹿角の良さは大自然が近くにあるところです。一方で永年存在していた景勝を海外の方が別の見方で切り取った「ドラゴンアイ」。同じように季節のほんの一時を反映した美しい自然の奇跡の姿が至る所にあります。新たな切り口での紹介により、予想外の大ヒットが生み出される可能性。第二のドラゴンアイをと言う訳ではありませんが、一極集中を減らし、広域分散で多くのツーリストに楽しんでもらえる地域を考えていく必要も、我々地元事業者にはあるように思えてきます。現場主義に徹して。







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